僕は文学部に在学している大学生なんですが、この場所は結構気に入っています。
好きなことを勉強できる!というのがデカい。社会生活に役立たないというのは確かなんですが、打算的なことを考えずにただ好きなことをできるのは楽しいです。
周りにもそういう「勉強するために大学に通う」人間が集まっているのもいいとこです。
(ちなみに「就職に不利」は就活経験した実感としてたぶんないです、人事じゃないのでわかりませんが)
ということで、進学先として文学部を検討している高校生、文学部ってどんなことを学んでるんだろう?という人に向けて文学部の雰囲気を体験できる本をご紹介します。
その前に・・・
文学部のイメージはどんなものでしょうか?
志望する理由として、「本が好きだから」というのはよくあると思います。
本が好きだから、文学部でたくさん本を読みたい!小説の研究をしたい!
もちろんそれもできます。立派な志望理由だと思います。
別に「本が好き」という志望理由にケチをつけたいわけじゃなくて、「本以外のこともたくさん学べるよ!」ということを伝えたいんです。
文学部にはどうしても「本をたくさん読むところ」というイメージがつきがちですが、それだけじゃないよってことです。
大学に行けばいろんな講義を受けることになります。
小説の研究を専攻する人でも小説関連の講義だけを受けるわけではなくて、文学部に当てはまる諸学問を包括的に受けると思います。
言語、芸術、歴史、心理、哲学、社会学・・・
最初は興味がなくても、その奥深さを知るとどれも面白いです。
この幅広さも文学部の魅力、僕はそれをなるべく伝えたいと思います。
『私学的、あまりに私学的な』
今回紹介する本はコレ。
この本は特に「大学で小説を勉強したい!」という人に読んでほしい本です。
著者は早稲田大学の元名物講師で文芸批評家の第一人者・渡部直己。
彼の講義「文芸批評理論」の内容を再現する、という趣旨の本で、この一冊で一流大学の文学部講義をまさに味わえます。
入門から最高レベルまで
本書のいいところは、章ごとにテキストの難度が段階的に分かれていること。
1章・「基礎演習」は文芸批評初心者でも楽しめる内容。
2章・「テクスト論/ジャーナリズム演習」は文学に興味のある人なら垂涎ものの読み応え。
3章、4章にもなると難易度は跳ね上がり、はっきりいうと高校生じゃまず読めません。
「文学が好きだ!小説を学びたい!」という人でも、わけわかんないと思います。(僕も正直ほとんど理解できません、文芸専攻じゃないので・・・)
ただ、「文学を学問とするということはこういうことだ」という示しにはなると思います。当たり前ですが、「この小説おもしろいね~」じゃ学問にならないし、「ここがこうだから面白いんだね~」でもやっぱり浅い。
文芸批評の「奥」を知るために、読むべきテキストです。
ほんとに文学部に向いてるか?
もう一つのいいところは、この本を読むことで「自分が文学部に向いてるか」がある程度わかるんじゃないかな、という点です。
というのは簡単で、この本を少しでも楽しめなければ文学部も楽しめないと思います。
この本は文芸批評の講義を体験する本。先ほどにも述べたように、文学部には文芸以外にも様々な学問分野が含まれています。別に文芸に興味がなくても文学部は楽しい。
にもかかわらずこんなことを言うのは、この本(というか「批評」)には「思想」のエッセンスが多分に盛り込まれているからです。
文学部は「人」の学問。それを追究するためには、長い歴史を生きた人間たちの「思想」の理解が必須になります。
そこに興味を示せないようではおそらく文学部は合いません。
おそらくこの本は万人受けするものではなく、「何言ってんだこれ、タイクツー」って人もいれば、「難しい、難しいけどワクワクするぞ!」という人もいると思います。
多分文学部に絶対行きたい!と思ってる人のなかでも、「あれ、思ってたのと違う」と思う人は割と多いと思います。
この本を100%理解する必要はありません(というかできません、さっき言った通り)。そしてこの本に賛同する必要もありません(このオッサン全然わかってねーな!的な態度はむしろいい)。
ただ、文学部に興味のある人だったらこの本は絶対に響くはず。そういう本です。
終わりに
今回は本好きの文学部志望に向けた本紹介でしたが、ほかにもいろんな文学部の側面を本紹介を通してお伝えできればと思います。
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