世の中の全てを知るには人生は短すぎる。
年をとっても、経験を積んでも、知らないことは多いわけです。むしろ増えていくばっかり。
例えば、「放送作家」という職業。
テレビを何時間と見ているけど、好きな芸人のラジオも聞いているけど、「放送作家」って何者?何してるの?ディレクターとかとはどう違うの?
知らないことは多いですよね。
ということで、僕が読んだのは『放送作家という生き方』。
著者は村上卓司さんという方で、「ジャンクSPORTS」「炎の体育会TV」などを担当しているベテラン放送作家です。
この本では、放送作家って何してんの?という基本的な問いから、作家としての一日、苦悩ややりがいまで、「放送作家」の疑問アレコレを徹底的に解説しています。
僕もテレビ・ラジオ好きなので、基本的な情報は知ってるなーと思って読み始めたんですが、結構誤解していたというか、知らなかったことも多かったですね。
例えば、僕が放送作家と聞いて思い浮かべるのは、バラエティ番組の企画づくり。いかに面白い企画を作って人を笑わせられるか、という感じだったんですね。
しかし、まあ当たり前ですが、放送作家は全ての番組に存在します。情報番組もしかり、スポーツの生中継にだって作家の仕事はあるんですね。
スポーツ番組って、作家は何すんの?勝敗決めてんの?意外とわからないですよねー。
また、印象的だったのは、これはある程度予想してましたが「めちゃくちゃ忙しそう!」ってこと。
放送作家のメインの仕事は「喋ること」。つまり、毎日行われる会議で企画の提案をすることがだいじなわけですね。
この会議っていうのが大変みたいで、日々膨大な量があるだけでなく、いつ何時予定が変更されるか分からないらしいです。
そのため、急遽参加!急遽キャンセル!が当たり前で、一日のうちに各テレビ局を何往復もしながら参加するらしいです。
さらにテレビ業界に休みはないので、「今日27時から会議!予定空いてる?」「空いてますけど、29時から次の会議が…」なんて会話もあるとか。
ゾッとするようなエピソードですが、それでも放送作家を続けられるのは、やっぱり仕事が楽しいからでしょうね。
この本で書かれていた、師匠のテリー伊藤から初めて認められたエピソードからは、村上さんの放送作家としての誇りがひしひしと伝わってきました。
激動の中で戦う放送作家、ちょっと羨ましいと思ったり。
「水曜日のダウンタウン」の藤井健太郎さん、「アメトーーク」の梶さんなど若手テレビマンに触れる章もあり、テレビ好きにはオススメの一冊です。