こんな人にオススメ
- BLのことをよく知らない人
- 妄想するのが好きな人
- 自分の視野を広げたい人
ボーイズラブ・BLは、近年ではもうマイナーな趣味とは感じなくなってきました。
書店でもBLのコーナーはそれなりの幅を獲得していますし、そこで人目を気にすることなく本を吟味する女性の姿(いわゆる腐女子)も珍しく無くなってきました。
ちなみに、僕が書店員として半年間だけ働いた経験のなかで、最初のお客様も最後のお客様もBL本を買っていきました。
まあ、少なくともボーイズラブを「異常性癖者」と見る風潮は大分薄まっている気がしますよね。
それでも、世の多くの男性たちにとって、BLを愛する腐女子の存在は不可解な存在ではあると思います。
「男同士のイチャイチャを見て何が楽しいの???」って感じですね。僕も長いことそう思っていました。
そのような人達に向けて書かれた本が、こちら。
『俺たちのBL論』。著者はサンキュータツオさん。この本を書いた人ですね(ヘンな本ばっか書いてんな)。
この本はまさに、「BLって何が楽しいの?」「腐女子の頭の中はどうなってんの?」という謎を、腐男子のタツオさんが解明する本です。
聞き手は映画評論家の春日太一さん。タツオさんが春日さんに対して授業を行う、という形式です。
この本を読んで、僕がBLを好きになったかといえば、そうではありません。依然、不可解な対象です。
しかし、腐女子が何を楽しんでいるのか、という点は理解出来た気がします。もっと言うと、彼女らのことが羨ましくなった。
最初から最後までタメになる点は多いのですが、印象的だったポイントを2つ、書いていきます。
1.腐女子はBLメガネをかけている
腐女子の心理を理解するためにタツオさんが春日さんに出す問題は、「エンピツと消しゴムは、どちらが受けでどちらが攻め?」
……いやいや、なんだそれ。たじろぐ春日さんに、タツオさんは模範解答(?)を提示します。そのタツオさんの妄想力たるや。エンピツはこういう性格で、でもこういう所があって、そこを消しゴムは……など、留まるところを知りません。
そう、腐女子の一番の特徴は「妄想力」。彼女らは「BLメガネ」を通して世界を見ることで、あらゆる事物に関係を見出すことが出来るとタツオさんはいいます。つまり、
僕らには見えない世界を彼女らは見ている!!
……ホントかな??そこまでするのはかなり「極めた」人だけな気がするけど……。
ただまあ、妄想力に長けている、というのは納得できます。この妄想力が、腐女子のコンテンツの楽しみ方にも影響しています。
2.作品の奥を読む
少年漫画の中には「腐女子人気が高い」といわれるものもありますよね。銀魂、ハイキュー、コナン、黒バス……etc。
これらの作品はもちろん男性にも多く読まれているのですが、非腐女子と腐女子とでは楽しみ方が違うんですね。
非腐女子はマンガを、紙面にある情報を元に楽しみます。
それに対して腐女子は、書かれているさらに奥を妄想するのです。
「こんなセリフを言ってるけど、ホントの気持ちは……」
「このあと、この二人は電話であのことを……」
など、描かれる部分をヒントにして、作品内では描かれない部分を自分の妄想で創りあげているのです。
非腐女子の読み方が二次元の読みだとしたら、腐女子の読み方は三次元の読み。
僕らにはない妄想力(ここらで創造力、と言い換えておきます)で作品を数倍楽しむ腐女子の方々を、羨ましいと思いました。
BL=知的遊戯
日常生活にBL関係を見出す、漫画のキャラにBL関係を見出すことは、自らの創造力でそこに新たなフィクションを作り出すいわば知的遊戯。
腐女子には、僕らに見えない世界が見えている。
BLメガネ、僕もかけてみたいな、なんて思ったり。