文学部で学ぶなら前提知識を付けたほうが楽しいよ、という話です。
背景としての「地理」
大学生になって好きなことだけを勉強できる環境に身を置かれてから、「もっと高校の時に勉強しとけばよかったなあ」とおもうことは多くありました。
というのは、文学部で何を学ぶにしろ、ある程度の前提知識がないと詰まらないんです。
大学で学ぶことには前提となる背景があります。文学として近代日本の文豪を学ぶなら当時の社会情勢を、社会学として少子高齢化社会を学ぶなら婚姻の歴史やインフラの現状などを・・・
周りの景色も知っていないと、せっかくの講義も単なる雑学で終わってしまうんですね。薄っぺら、、、
なので、興味のある分野を楽しむためにも、興味のない分野でも一般教養レベルの知識は網羅しとく必要があります。
ぼく自身が人文学の講義を一通りさらった中で、とりわけ必要だと思ったのは「世界地理」。歴史はもちろん、文学、社会学、宗教学、民俗学、美学……あらゆる分野の背景に「その風潮が生まれた土地の背景」が絡んできます。
ということで、世界地理をざっと学べる本のご紹介。
あからさまなタイトルですが、実際分かりやすいし、面白いです。
この本は「世界地理」といっても気候や地形というよりは、「国」に重点を置いた内容になっています。
各節ごとに「アメリカ」「インド」「アフガニスタン」等、国別のテーマが割り振られており、それぞれの国の成り立ち、特性、最新事情などを簡潔に解説している内容。
ニュースをちょっとでも流し聞きしている人なら「あーはいはいなるほどね!」となる箇所も多いのでは。
各地域の文化を頭に入れておくことで、人文学のベースとなる背景は押さえられます。
どのテーマを専攻したとしても、日本だけでおさまることはないですからね。
「フラットな視点を持つ」
文学部志望がこの本を読むメリットとしては、もう一つ「世界をフラットな目で見れる」という点があるんじゃないでしょうか。
今の日本は印象として、だいぶ未来が明るくないです。
働き手は減る、給料は下がる、年金ももらえない、技術も他国にかなわない、、、
SNSでも「日本サゲ、海外アゲ」が多い印象です。
この本のためになるところは、それぞれの国の「課題点」を書いてくれてるところです。
この本を読んでくと、どの国も「うっわこれどうすんだろ……」と思ってしまうような深刻な問題を抱えていることが分かります。意外と他の国のネガティブな部分って、知らないもんなんですよね、隣の芝は青いじゃないけど。
僕らが住んでる日本もしんどいけど、それはみんな同じ。そんなことを気づかせてくれる本、結構貴重じゃないかなと思ってます。
そして「日本だけがヒドイわけじゃない」というフラットな視点を持つことは人文学を学ぶ上でも重要な点だと思います。土台が傾いてちゃ理解はどんどんねじ曲がっていきますから。
人文学を楽しむために、ベースの知識を身に着けていきましょう。
- 作者: 高橋伸夫,井田仁康
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 文庫
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